金融犯罪が収まる気配を見せない中、金融機関は不正検知の戦いに絶えず挑んでいます。このため、不正支払いへの対処とこれに伴う財政および評判への影響を最小限にとどめることが、世界中の企業の重要な優先事項となりました。
アイルランド中央銀行の最新の調査によると、アイルランド国内の不正支払いの総額は2023年に26%増加し、2022年の1億ユーロから1億2600万ユーロになりました。IBM、BNY Mellon、Stripe、Mastercard、Citiなどのグローバル金融サービスやハイテク最大手企業が欧州統括本部を置くアイルランドは、サイバーセキュリティとAI(人工知能)の中心地で、銀行や決済代行企業が、世界中の不正を食い止め、顧客を保護するためにAIソリューションの導入を進めています。
なぜAIが不正検知を一変させるのか
AI搭載の不正検知システムは、膨大な取引データを分析し、従来の方法では見逃す可能性のある複雑な不正パターンを認識することができるため、きわめて高い精度で異常な動きを特定することができます。
グローバル最大手企業によるAI不正検出技術革新の推進
ダブリンに重要拠点を置くIBMは、不正検知の向上と誤検知の削減により、金融機関が進化する脅威に先手を打つための支援を提供しています。同社のリアルタイム決済不正監視ソリューション「IBM Safer Payments」は、トランザクションストリームを解析し、高リスクのトランザクションを完了前にインターセプトして、クレジットカードなどのキャッシュレス決済システムにおける不正を防止します。
アイルランドで創業された決済代行企業Stripeは、欧州事業の統括本部をダブリンに置き、最先端のAI技術を展開して企業をオンラインクレジットカード不正から保護しています。適応型機械学習を搭載する同社の不正防止ソリューション「Stripe Radar」は、決済スタック全体のデータを吸収することができます。
ダブリンに主要技術拠点を展開するグローバル決済大手Mastercardも、不正対策の最前線にいます。同社はリアルタイムトランザクション承認の精度向上と誤検知の最小化にAIを活用しています。AI搭載技術により1兆データポイントをスキャンし、50ミリ秒未満でリスクスコアを算出しています。
「生成AIにより、不正防止ソリューションの速度と精度を上げ、犯罪者の企てを阻止し、銀行とその顧客を保護しています」と、Mastercardサイバー&インテリジェンス部門プレジデントのAjay Bhalla氏は述べました。
AIソリューションが不正軽減に与える影響
Mastercardによると、AIの強化により不正検知率は平均20%、場合によっては最大300%向上しました。同様に米国の大手銀行BNY MellonはNVIDIAのDGX AIシステムを活用して不正検知精度を20%改善しました。PayPalはNVIDIA GPU搭載の推論システム上でリアルタイム不正検知を10%高めると同時にサーバ容量を約8分の1に削減しました。
アイルランドの主要銀行、AI不正検知技術に投資
2024年、Bank of Irelandは、不正防止・保護に5000万ユーロを投資すると発表し、このうち1500万ユーロを詐欺対策技術に充てました。アイルランド最大手銀行の一つであるAIBは2021年にサイバーレジリエンスと不正検知の能力強化を目的にIBMと6500万ユーロの契約を締結しました。Permanent TSBはExpleoと提携し、銀行アプリに不正防止ソフトウェア機能を組み込みました。このAI搭載機能は、不正なテキストメッセージを検出すると警告を発信して、スミッシング(SMSフィッシング)からユーザーを保護するよう設計されたものです。
影響と課題
欧州では、企業は欧州AI法およびGDPR(一般データ保護規則)を遵守しなければなりません。AI法はAI開発者や導入者に明確なリスクベースの規則を定めている一方、GDPRは組織が個人のプライバシーの権利を保護しつつ、個人データを責任を持って扱うことを保証しています。
FAQ:不正検知におけるAI
アイルランドの銀行は不正検知にAIを活用していますか?
アイルランドの多くの銀行や金融機関が、不正対策にAIを活用しています。AIは、従来の方法と比べて不正検知をどのように改善するのでしょうか?
AIは大量のデータから継続的に学習することにより誤検知を減らし、複雑な不正パターンをリアルタイムで検出します。
アイルランドでは、どの業界が不正防止目的のAI導入を牽引しているのでしょうか?
銀行、決済部門とフィンテック企業が、アイルランド国内では不正防止目的のAI導入を牽引しています。
AIは不正検知の成功率にどのような影響を与えましたか?
AIは不正検知率を20%、場合によっては300%向上させるとともに、誤検知を大幅に削減しました。