DIAS（ダブリン高等研究所）は、今年の「Reach for the Starsコンテスト」の受賞者を発表しました。
5年目を迎えたこのコンテストには、2024年4月26日から2025年6月2日までの間に撮影された170点以上の作品が寄せられ、審査員が6部門で最終候補を選出し、受賞者を決定しました。
「Reach for the Stars コンテストは、アイルランドの天体写真家たちがもつ豊かな才能とひたむきな姿勢を明らかにしてきました」と、DIAS最高経営責任者兼登録官であるEucharia Meehan博士は述べています。
「受賞作品は、技術的手腕の賜物というだけでなく、宇宙に対する新たな視点を提示し、夜空を見上げる人の好奇心をゆさぶります」
Martin McCormack氏は、ダブリン県グラスネヴィンで撮影した『Winter Nebula in Bloom（咲き誇る冬の星雲）』という作品で、2年連続の「Out of the World – Deep Sky（宇宙の彼方―深い宇宙）」部門賞を受賞しました。この作品は、地球から5200光年離れたばら星雲を捉えたものです。McCormack氏の技術的手腕が高く評価されました。
Raluca Lica氏は、キルデア県ナラモア近郊で撮影した『Aurrora above the Golden Fields（黄金の野原に広がるオーロラ』という作品で、「Back on Earth – Kabdscape（地上 - 風景）」部門で受賞しました。この写真は、意図せずに撮影されたものです。Lica氏は、当初、気象予報をもとに地磁気嵐の撮影をするために別の場所へ移動しようと機材を片付けていたところ、突然空が明るくなりました。
「あの夜は、カメラをどこに向ければよいかわかりませんでした」と彼女は語りました。「広角レンズを使っても、目に映る全てを収めることはできませんでした」審査員はこの写真が「存在感」を伝えるとして高く評価しました。
People’s Choice賞はAnthony Lynch氏の『Symmetry（シンメトリー）』に贈られました。この写真はオファリー県のラフ・ブーラ公園で撮影されたものです。Lynch氏は別の写真を撮影する予定でしたが、線路を見た瞬間心を奪われ、その結果、夜空の天の川が生み出す見渡す限りのパノラマと、その下を走る線路がこの作品を作り出しました。
Liam Reddall氏はミース県レイタウンで撮影した『Voyager（ボイジャー）』でBack on Earth - Landscape部門賞を受賞しました。Reddall氏はLinda Brunker作のボイジャー像を見て「魅力的な前景の被写体になる」と感じました。このブロンズ像は海の方を指しており、それにより広大な夜空を捉えることができました。
「長時間露光撮影により、周囲の街灯から浮かび上がる像が黄金色の輝きを帯びることになりました」と彼は語りました。
Out of this World – Planetary部門では、Brian O’Halloran氏がウォーターフォード県ダナブラッティンで撮影した『Comet Tsuchinshan-ATLAS In All Its Glory（紫金山・アトラス彗星の全貌）』が受賞しました。この彗星は昨年10月中旬に観測されました。
「撮影できたことは非常に幸運でした」とO’Halloran氏は語りました。「紫金山・アトラス彗星は現在、太陽系から離脱する軌道上にあり二度と目にすることはないでしょう。」
受賞者は8月20日（水）にDIASで開催された非公開式典で表彰され、アイルランドの天文台入場パスや写真機材購入券などが贈呈されました。
受賞作品および最終選考作品は一般公開されています。
審査委員長を務めたDIAS天体物理学部長Peter Gallagher教授は、「本年の大会は新たな高みに達しました。大会の成長を目の当たりにして非常にうれしく思います」と述べました。
その他の審査員は、アイルランド天文学会会長Michael McCreary氏、Space Medicine Ireland共同創設者Lisa McNamee博士、アイルランド・タイムズ紙受賞写真家Alan Betson氏でした。
本コンテストはアイルランド・タイムズ紙との共催で実施され、MKC Communicationsとアイルランド天文台が協賛、アイルランド天文学会が本企画を後援しています。
受賞作品および優秀作品一覧は「Reach for the Stars」ウェブサイトでご覧いただけます。
Rebecca Graham
本記事の掲載元はwww.siliconrepublic.comで、こちらでご覧いただけます。