国内のデジタルスキル格差解消を目的に、アイルランド初となるユニークな国家主導のスキルプラットフォームの開発が官民提携によって進められています。40万ユーロのこの共同研究事業は、ダブリン大学トリニティカレッジに設けられたアイルランドの未来の仕事と学習に関する研究拠点Learnovateが、グローバル技術企業Cisco社と国家人材開発機関Skillnet Irelandとともに推進しています。

本事業は、Skillnet Ireland並びにアイルランド高等教育研究・技術革新・科学振興省、アイルランド政府産業開発庁が認可したもので、アイルランドの今後の経済と社会のニーズを満たすうえで重要な役割を果たすことが期待されています。 

共同研究事業の第1フェーズは2月28日に正式に開始しており、目的はスキルプラットフォームのプロトタイプ開発への情報提供です。

目標は、コアとなるデジタル及びデータに関するスキル開発と、各スキルに適した人材配置のための専用プラットフォームの構築です。プラットフォームのプロトタイプは、ユーザーが自身の能力を解析できる自己評価ツールを提供し、各職務に必要なデジタルスキルを標準化し、特定職務におけるスキル格差を特定し、関連する学習コースの流れを可視化したジャーニーマップを推奨します。また、上位の職務に就くために必要なスキルの詳細を示すことで、キャリアアップのためのロードマップも提供します。

アイルランドの複数企業が参加して行われたワークショップでは、コアとなるデジタルやデータスキルの不足が、産業に影響を及ぼす規模の問題であることが改めて確認されました。本事業の目的は、アイルランド企業が直面する学習・開発、人材、人的資源に関する共通の課題に対する解決策の提供です。本事業は、今後、デジタルおよびデータスキルの需要がますます高まるとの予想を踏まえスタートしています。

本事業の背景として、2023年のECの取り組み「デジタルスキル向上の年」とEUの「デジタルの10年計画」の始動があります。EUの「デジタルの10年」の主要目標は、人口の少なくとも80%に基本的なデジタルスキルを身につけさせて人をデジタル変革の中心に据えることです。本研究事業は、アイルランド経済にとって懸念されるデジタルおよびデータスキル格差の拡大を埋める重要なプロジェクトとなります。