ABB社は、アイルランドのダンドークに紙・パルプ産業向けのグローバルR&D(研究開発)センターを正式に開設しました。

数百万ユーロを投じて新設されたABBダンドークR&Dセンターは、ABBが同業界向けに提供する自動化およびデジタル技術の中核となり、ABB QCS(品質管理システム)の継続的進化の拠点となります。

同センターにおけるABB社のビジョンは、グローバルなトレンドに対応し、急速に発展する業界の持続可能な目標を達成できるソリューションを開発することです。例えば、新しいQCSには、紙をすく際に使用する抄紙機1台あたり年間廃棄物(生産ロス)を2%以上削減できる可能性があります。典型的な製紙、板紙、ティッシュ抄紙機の年間CO2排出量を57kt(キロトン)と仮定すれば、各抄紙機の年間排出量を同じ2%、つまり炭素換算でCO2を1.1kt削減することにより、工場の持続可能性目標に貢献できることになります。

このプロジェクトには、アイルランド政府産業開発庁を通じてアイルランド政府が支援しています。

貿易振興・デジタル変革担当ダラ・カレアリー国務大臣は、「これはラウス県を含む幅広い地域への非常に有益な投資であり、同県が企業の成功と成長に絶好の立地であることを示しています」と述べています。

同センターは、積層造形(3Dプリント)、協働ロボット、拡張・仮想現実などの最新技術を、トレーニングやフィールドサービスの提供に活用し、ABB社の紙パルプ開発チームのニーズへの対応を強化します。敷地内には新しいトレーニングハブを設置し、ABBと顧客の双方に技能開発支援を提供し、多くの異業種間提携や協働を実現します。

アイルランド政府産業開発庁のメアリー・バックリー暫定長官は、「ABB社は40年にわたりダンドークで多くの従業員を雇用してきました。この新たなR&Dセンターは重要な拡張であり、アイルランド政府産業開発庁の現行戦略上の注力分野である持続可能性にも合致しています。ABB社のこの数百万ユーロ規模の投資の成功を祈念しています」と述べました。

ダンドーク工場は、バンガロール、シンガポール、ストックホルムと並びABB社の世界4大紙パルプR&Dセンターに名を連ねます。また、アイルランドに進出して25年になるABB Robotics & Discrete Automation社の販売・サービス拠点としての役割も果たすことになります。本工場は、顧客に優れたサービスを提供することを目的に、事業分野を超えた新たな協力体制を育む優れた拠点となることが期待されます。ABBはアイルランド国内の5拠点で約180人を雇用しています。