ショーン・レッサー
2011年1月20日(木)
アイルランドは優良な外国直接投資先として世界的名声を獲得しています。ライフサイエンス、情報通信、エンジニアリング、金融サービス等の様々な分野で約,000社の外国企業がアイルランドを欧州の戦略拠点として選択してきた。
現在アイルランドは、クリーンテクノロジー分野における優良投資先としても頭角を現している。これは主に、豊富な天然資源、高いスキルと有能な労働力、前進を続ける研究開発環境、そして政府によるクリーンテクノロジー推進政策によるものだ。
アイルランドは、5年以内にクリーンテクノロジー関連の複数のニッチ部門で世界のトップに躍り出ようとしている。欧州と大西洋の間という戦略的立地により、アイルランドは豊富な再生可能エネルギーを所有しています。イギリスや欧州への送電アクセスに相まって、クリーンテクノロジー産業のリーダーにふさわしい理想的条件を備えている。
アイルランド政府はクリーンテクノロジー産業の発展を全面支持し、この目覚ましい成長分野でアイルランドを世界のトップに位置付けようとしている。明確な政府目標も設定された。2020年までに総電力の40%を再生可能エネルギーで発電、2020年までに現エネルギー費用を20%削減、2020年までに電気自動車普及率10%を達成するというものだ。
以下は、アイルランドのクリーンテクノロジー部門の現状を表す10の特徴である。
- 2010年3月、IBM社のスマーターシティ・テクノロジーセンター第1号がダブリンに設立された。当センターはIBM社が、運輸、通信、水、エネルギーといった中核的運用システムの理解、相互連携、管理面で世界中の都市を支援する高度なスキルを持つ部門横断的なチームを提供するものとなる。ダブリン市は「試験都市」としてIBM社に協力、経済活動を刺激するテクノロジーを受け入れ、将来のグローバル競争に耐え得る持続可能な都市に向け、課題と向き合うスマーターシティになろうとしている。
- UTC(ユナイテッド・テクノロジーズ)社は、未来のエネルギーシステムに着目したユニークな研究所を設立する計画だ。ユナイテッド・テクノロジーズ・リサーチセンターは、アイルランドのクリーンテクノロジーへの迅速な対応と積極姿勢をばねに、新規テクノロジーの大規模実証実験をする予定。UTCは、アイルランドのインターナショナル・エネルギー・リサーチ・センター(IERC)の創設メンバーとなる計画も発表している。IERCはアイルランド、欧州および世界中の主要研究者と持続可能エネルギーの分野で連携する機関。
- 1978設立の国際的再生エネルギー企業NTR Plc社は、アイルランドで最も成功をおさめているクリーンテクノロジー企業の代表で、急成長を続けている。NTR社はグリーンエネルギーや資源持続ビジネスを構築、経営している。NTR社は、傘下のStirling Engine Systems社とTessera Solar社と協力して、スターリングエンジンを動力とする太陽光集光システム、SunCatcherを生産している。NTR傘下の別企業、Green Plains Renewable Energy社は垂直統合型の低コストエタノールメーカーで、バイオ燃料業界のリーダーとなりつつある。
- 2010年に創設された「The Green Way 」はクリーンテクノロジー推進団体で、企業、教育機関、地方自治体の強力な支持を受けている。支援団体には、ダブリン・エアポート・オーソリティ、ダブリンシティ大学(DCU)、ダブリン工科大学(DIT)、フィンガル州議会、ダブリン市議会、北ダブリン商工会議所等が名前を連ねる。団体が目標とするのは、アイルランドをクリーンテクノロジー分野での技術革新と企業の中核とし、企業と投資家を繋ぎ、グリーンテクノロジー分野の主要国際団体と貿易パートナーシップを構築するだ。
- OpenHydro社は、今後10年間で1,280億ユーロ規模の価値を生み出すと予想される潮流エネルギー分野で活躍する会社。OpenHydro社は潮流から再生可能エネルギーを生成するための海中タービンの設計・製造を手掛けている。同社のビジョンは世界の海中に潮流タービンファームを配備、静かに、目に見えないところで環境負荷を一切もたらさずに発電するというものだ。OpenHydro社は2004年後半のOpen Centre’(オープンセンター)テクノロジーに関する世界の権利交渉の翌年2005年に創設された。オープンセンターテクノロジーの開発は1990年代初めにアメリカで開始、巨大な海洋エネルギーを活用、太陽と月の引力作用によって作られる潮流の力により完全に再生可能な発電を可能にする技術である。OpenHydro社は、10年以上にわたってオープンセンター・タービンを開発、様々な海洋条件下で検証を続けてきた実績を持ってる。
- 海洋エネルギー分野ではWavebob社がある。Wavebob社は、ブイのように海面に浮かびながらさまざまな波に対して自動調節することにより、陸上の電力グリッドに送電する電力量の最大化装置を設計・開発している。1999年の創立以来研究開発に巨額を投じてきたWavebob社は、2006年から海洋でのトライアル試験を実施している。2007年にはアイルランド西海岸沖で初の海洋発電に成功、グリッド接続の波力エネルギー変換装置の準商用化試験は2011年末にポルトガル沖で開始予定だ。試験目標は、Wavebob社の技術が海洋からのエネルギー取り込みに関して世界標準への採用に最適であり、大規模商用波力発電ファームの実現に大きな一歩を果たしうるものであると実証することにある。
- 2008年設立のSolarPrint社は、色素増感太陽電池(DSSC )の開発・製造企業。DSSC とは、手に入りやすい安価な原料を使用、低コストで高速・簡易な製造工程を採用して日用品に組み込むことができる、電源不要の太陽光充電を可能にする印刷可能でフレキシブルな第3世代の新規太陽電池技術である。家電製品のような大衆市場向け太陽電池を製造しようとする国際的努力や構築されつつある太陽電池組み込みセクターの悩みの種だったコストと効率の問題に、SolarPrintはソリューションを見つけた。この飛躍的発明は、取り扱い簡単で製造コストがかからない半液体状太陽電池材料の製造にある。大衆市場用太陽電池パネルの本格展開に成功すれば、エネルギー利用に革新をもたらすことも可能になる。
- 8. Ecocem社は2000年に設立された独立法人で、高炉スラグ微粉末(GGBS)の専門メーカー。GGBS は製鉄過程の工業リサイクル副産物を原料とし、製造に天然資源が一切介在しない。GGBSの製造過程で排出されるCO2は通常のセメント製造時の1/16で、コンクリート製造に伴うエネルギー使用量を50%も削減する。セメント製造は毎年20億トンものCO2を排出する、CO2排出量では世界第2位の産業だ。建築材料最大手のSt Gobain社は近年、Ecocem 社の株式を30%取得した。またEcocem社は、全世界シェア10%の製鉄最大手ArcelorMitta社との合弁も発表している。
- ESB社はアイルランドの主要電力会社で、国内の電気自動車開発・支援の中心的存在である。ESB社のeCars事業は、エネルギー供給企業全てと全車種にオープンアクセスを提供する充電ポイントの展開、そしてこれを支援するITシステムの導入に責任を担っている。本事業では全国の家庭、一般道路、高速道路の充電ポイントをつなぐ包括的ネットワークを構築、2020年までに全車両の10%を電気自動車にするという政府目標を支援するものだ。ESB社は研究、トライアル、技術標準化活動に携わっており、eCarsの本格展開を成功に導くべくアイルランド政府、自動車業界、大学その他の主な利害関係者と密接に協力している。
- Green IFSCというプロジェクトがこの3月に始動する。これはダブリンのIFSC(国際金融サービスセンター)をアイルランドでの環境ビジネス関連のオフィスの集積地にすることを目標とするものだ。本イニシアチブでは環境ビジネスのみならず、本分野の投資会社や二酸化炭素排出削減分野に携わる企業の誘致をはかる。法人税率が低いアイルランドは国際的排出権市場においても主力プレーヤーになる好条件が整っており、Green IFSCによりアイルランドは排出権管理の中核的拠点として台頭しようとしている。2010年1月、IFSC Banking & Treasury Groupの広報官は本プロジェクトについて、最も野心的な目標として、5年のスパンでIFSCと同等のものを作り上げたいと語った。これが実現すれば25,000の新規雇用が生まれ、グリーンハブで事業を運営する企業から年間およそ110億ユーロの納税が見込める。
**ショーン・レッサー氏はアトランタに本社を置くSustainable World Capital社の創業社長で、当社の主力事業はクリーンテクノロジーや持続可能事業のプライベート・エクイティ・ファンド、クリーンテクノロジー関連の非公開企業やM&A活動用の資金調達である。同氏はGCCA(グローバル・クリーンテック・クラスター・アソシエーション)の共同創始者でもある。
出所: "Top 10 Reasons Why Ireland Is A Cleantech Leader" By Shawn Lesserreen